デジタル盗聴

デジタル盗聴とは

そもそもデジタル盗聴とは何なのでしょうか?
はっきり言って単なる携帯電話でしかありません。

デジタル盗聴器を私が初めて知ったのは1999年頃ですが、その頃はデジタル盗聴とは言わず「無限盗聴器」として、ある探偵社などで販売されていました。

内容は無料配布の携帯電話を少し改造しただけの物で、価格は確か25万円程度だったと記憶しています。

ボロい商売ですよね。

それが、携帯電話がデジタル通信の為いつの間にか「「デジタル盗聴」と言われるようになり現在に至っていますが、結局携帯電話です。

しかし、デジタル盗聴と言う言葉は一人歩きを始め「さも怖そうな物」として認識されています。

しかし、進化しているかと言えば、逆に盗聴器としては退化しているのです。

これは業者ですらあまり知らない事なのですが、現在の携帯電話のある機能が邪魔をしているのです。

昔の機種はこの機能のON/OFF切り替えが出来たので、この機能をOFFにすればクリアーに聞こえたのですが、現行機種ではこの機能は標準の物が多く、切る事が出来ない機種が多いのです。

よって、昔の携帯電話に比べ現在の携帯電話は盗聴には向いていません。

市販のリモートリスナーなどの高性能マイクを使用しても、近くの音は聞こえても少し離れた所の音はカットされてしまいます。
使った事がある人ならば音声がブチブチ切れる事を体験している物と思います。
また、相性などが合って比較的良く聞こえる機種でも「こもった音」の為、何を言っているのか結構分からなかったりもします。

このデジタル盗聴に適した携帯電話がプリペイド携帯だったのです。

しかし発売当初は身分証明が必要無かった為、匿名性が有ったのですが、現在は身分証明の提示が必要になり、こんな物を使って見付かりでもすれば身元がばれてしまいます。

電波式の盗聴器の最大の利点は匿名性にありますので、その匿名性が失われてしまった今、デジタル盗聴の利点は極めて限定的な物になっています。

また、デジタル盗聴といっても所詮携帯電話ですので、携帯電話の性能を超える事は出来ません。
つまり、連続通話時間は2時間前後で充電が必要、圏外では使えない、携帯ジャマーで簡単に阻止できる、発見するより妨害が有効、海外ではすぐに電池切れを起こす等、これらの携帯電話の弱点を付けばそんなに怖い物でもありません。

ネットで言われているように、通常では電波が出ていない為に発見できないとか、デジタルなので発見出来ないとか、そんな事は実際にはどうでも良いのです。

電波が出ていないデジタル盗聴器を発見する方法も実際にはありますが、コストの面でお奨めではありません。

実際にはデジタル盗聴(携帯電話)は通常の盗聴器より対処が楽です。

デジタル盗聴に対応できる機種としてFBI-2800があります。
値段は高いのですが、これは素人さんが使う機種としては最高性能の発見器とも言えます。

これで調べて何も無ければ、心配する必要はないと言っても過言ではありません。

私が実験した所、全ての電波式盗聴に反応し設置場所の特定まで出来ました。

妨害する方法もあります。

それは携帯ジャマーの使用で、100%のカットは出来ませんがそれに近い数値はカットできます。

デジタル盗聴は充電が必要な為、常に付いているとは限りません。

調査してもその時に付いていなければ調査の意味がありませんよね、その為、携帯ジャマーが有効になってくるのです。

当然自分の携帯もカットされてしまいますけどね。

この、100%ではないという事はどういうことか説明しますと、携帯電話の中継アンテナとの相対距離によって変わるという事なのです。

つまり、携帯電話やPHSの中継アンテナの近くではつながりやすく離れれば切れやすくなるという特性を持っています。

これは電波法に由来する物で、規定出力以上の電波を発信できない為に、妨害電波の出力が勝っていればカットしますし、携帯の出力が勝ればつながってしまいます。

しかし、デジタル盗聴は主に車載用に使われるのが主な為、常に状態が変化するので、聞く側の方からすれば切れている時間のほうが長くなり盗聴が実用的でなくなるのです。

面倒でもお金をかけずに防止す方法(車の場合)もあります。

簡単な事です、携帯電話が圏外になる地下駐車場などを探し半日~1日程度止めていれば携帯の電池は切れてしまいます。

この原理は「国内の携帯電話を海外へ持っていくとすぐに電池が切れてしまう」事と同じ原理です。

携帯は常に使用できる中継アンテナを探すために定期的に電波を発信しています。

その表示が「バリ線」なのですが、圏内に中継アンテナを確認すれば一瞬の電波送信で終わりますが、中継アンテナが無い所では探し続けます。

その為に電波を発信し続ける事により、通話状態と同様の電池消費が行われるために電池がすぐに切れてしまうのです。

同じ原理で携帯ジャマーによる妨害も電池切れを起こさせる事が可能になります。
この方法は、室内の防衛に利用できます。

ここまで読んでいただければ前に書きました「デジタル盗聴は通常の盗聴より対処が楽」と言うことが少しは理解できたと思いますが、整理してみましょう。

デジタル盗聴

通常盗聴

周波数 携帯電話の割り当て周波数が決まっている為妨害する場合でも一定の決まった周波数だけを妨害すれば良い 広い範囲の周波数帯に分散している為全てを妨害する事は困難で発見したほうが効果的
サイズ 基本的に携帯電話なので基盤だけ使ったとしてもかなり大型になるので、仕掛ける場合も制限が大きい 基盤自体はきわめて小型なので仕掛けや仕込みの自由度が大きい
電池寿命 連続通話は2時間程度で充電が必要電源供給しながらの場合はACアダプターなどが必要だったり制限が多い 最近ではペン型でも50時間以上は発信が可能で少し大型になれば2~3週間程度は電池が持つ、コンセント式なら半永久
出力 携帯電話は通常の盗聴いに比べ比較的出力が大きい為、ご用心などでは反応が激しく、喋らない対策を採れば聞かれる事はない。 微弱な電波の為、、ご用心などの発見器での反応は10センチ以内になる為反応したら喋らない作戦は通用しない。

どうです?

比較してみれば、どうって事の

無いものでしょう。

はっきり言って「使えません」ね。

 

デジタル変調を使わないデジタル盗聴器

デジタル盗聴器とはデジタル変調を使うからデジタル盗聴器と呼ばれるのですが、デジタル変調を使わない盗聴器もデジタル盗聴器として売られています。

デジタル変調は正弦波と逆相を0と1として通信を送るのに対し、デジタル変調を使わないデジタル盗聴器は、アナログ電波の周波数を高速で切り替える事でレシーバーで受信出来なくしてる盗聴器で、デジタルとは名ばかりの盗聴器です。

このタイプの盗聴器は、固定周波数を受信するレシーバーでのハウリング調査は出来ませんが、電磁波その物を調査する電界調査で見付ける事が出来ます。

 

携帯電話の分解

調査依頼者や相談者から「携帯電話に仕込まれている」と言う話を聞きますが、本当に出来るのでしょうか?

実際に、3つの機種で分解して見ましたが無理です。

今の携帯電話は、ほとんど無駄の無い設計になっていて、ケース自体が基盤に必要な部品になっているので、分解して盗聴器を仕込もうとしてもスペースがありません。

基盤同士は接点で接続されていますのでコードもありません。

つまり、電源を取る場所がないのです。

また、ご自分の携帯電話を分解して見れば分かりますが、まず特殊なドライバーが無ければ分解できません。

携帯電話の分解1

携帯電話の分解2

携帯電話の分解3

携帯電話の分解4
デジタル盗聴は時代背景も考慮しよう

デジタル盗聴が騒がれ始めたのは、前にも書いた様に1999年で、その当時はまだアナログ方式が残っていて、携帯電話の傍受が可能だった。

しかし、現在は完全デジタル化になり、携帯電話の傍受が不可能になっている。

しかし、ネット上にはアナログ時代の情報も残っており、そうした情報では携帯電話の傍受は可能と書かれている。

ネットの中でデジタル盗聴を心配する人の多くは、そうした古い情報を見ている場合が多い。

そして、デジタル盗聴と、携帯電話の傍受は別物なのだが、これも混同して考えている人が多い。