電話盗聴器の仕組みと誤解

電話盗聴器は電話のシステムから理解する必要がある。

電話回線には普段は微弱な電気しか流れていない。

受話器を上げた時に、「プー」と言う発信音が流れた時に、電気が流れる仕組みになっている。

電話盗聴器はその電話線に仕掛ける。

電話線にはL1とL2の二本の線が通っている。

そのどちらか片方だけに取り付ける。

電話盗聴配線図

「電話の雑音は盗聴の可能性」と言われるのは、この配線をした時だけの話であり、実際にはこの配線はしない。

何故、この配線だと雑音が出るのか?

この図で言えば、L2の線は本線と盗聴器の2経路になる事で電圧低下が起こり、その為に音量低下や雑音と言った症状が起きる。

それが雑音が起きる原因とされている。

 

しかし、盗聴器の配線の間の本線を切り、一経路にすれば電圧低下は起こらない。

電話盗聴配線図2

 

その電圧低下は、盗聴器にも影響する。

つまり二経路にした場合、盗聴器にも電波を飛ばすだけの電力が供給されなくなってしまう。

つまり、雑音が出る配線と言われる物は、電波自体が発信されない。

偽装品などは最初から1経路の配線になっており、偽装品は最初から雑音が出る構造にはなっていない。

つまり、実際の電話盗聴では雑音が出ないのだ。

「電話の雑音は盗聴の可能性」と言うのは、理論上の説明は出来るが、実際には都市伝説の領域の話しである。

逆に、「電話に雑音が」と言って相談して来た時点で、盗聴の可能性は0に近い。

電話の雑音の大半は、コードレス電話特有の雑音の場合が多い。

ここに大きな錯覚がある。

自分の電話の環境しか考慮されない。

自分がコードレスでなくても相手がコードレスの場合でも雑音は聞こえる。

コードレスは、電話をする度に周波数が変るので、コードレスの雑音は一旦切って、かけ直すと結構止まる。

次に多いのが、電話線が冷蔵庫の後ろなどを通っていたりして、電話線に電化製品などのノイズが混入している場合だ。

その時は、電話線を移動すれば雑音は止まる。
さて、電話盗聴器の仕組みだが、電話盗聴器にはアンテナも電源も必要無い。

電源は受話器を上げた時に流れる電気を使い、アンテナは電話線をアンテナとして使う。

その為、電話をする時だけ電波を発信し、受話器を置くと勝手に切れるので、通常は電波を出していない。

この理屈を知れば、光ケーブルに電話盗聴器が仕掛けられない事が理解出来るだろう。

光ケーブルには電気は流れていない、しかもメタル線で無い為に、電話線をアンテナとして使う事も出来ない。

そして、通信も電気信号ではなく光で行っているので、光ケーブルに電話盗聴器を取り付ける事は出来ない。

ADSLのIP電話も、通話信号は音声信号ではなく、パケット通信になっている為に盗聴する事は出来ない。

GPS(位置情報システム)による追跡

 

GPS位置情報システムを仕掛けられて、居場所を知られているという調査依頼や相談を受けますが、その実力は如何な物か?実験で検証して行きたいと思います。

 

位置情報システムの種類

位置情報システムにはどんな物があるのでしょうか? 定番は携帯電話の位置検索システムです。

また、PHSを使ったイマドコサービスもありました。

まずこの両者の違いは、携帯の位置情報はGPSを使用するのに対し、PHSは中継アンテナの位置を示しているのです。

PHSは中継アンテナから100M以内でしか使えません、その為沢山のアンテナが必要になるのですが、逆に使っているアンテナの100M以内にいると言う事にもなるのです。

それを表示しているので、誤差が100Mと言う事になる訳です。

また、警察車両等に搭載されているカーロケーションシステムもありますが、一般人には無縁の物です。

その他には電波発信機を取り付けて、電波が発信されている場所を調べるハンディーカーハンターや、GPS情報記録式の位置情報もあります。

しかし、ハンディーカーハンターは余程練習しなければ使いこなせません。

GPS記録式は、リアルタイムで分かると言うものではなく、取り付けたGPS装置に位置情報を記録させて、それを回収して位置情報を得るタイプです。

 

GPSで居場所を知られる?

「GPSで居場所を知られて先回りされてる」と言う相談がやたらに多いのですが、 そう言う人は、GPSをあまり理解しておらず、闇雲に不安を抱えているのです。
とりあえず、携帯のGPSを使って実験してみましょう。

 場所と表示 説明
GPS 実験場所は名古屋市中村公園の三洋堂書店のレンタルビデオショップ。
ここで実験開始。
GPS2 この建物の真横で表示させると、見事にピンポイントで表示される。
(基点の写真を取り忘れたので、店内で表示されている所の写真を撮った後に戻って撮影)これは自分で持っている携帯の表示なので、軌跡が記されるが位置情報画面では軌跡は示されず、通信を行った時の点だけが表示される。
GPS3 店内に入ると全く別の所が表示される。
果たしてこれはどう言う事なのか?
(新型機種はGPSマークに×が表示されているが、ほとんどの機種は表示されない)
また、これは自分の持っている携帯での表示なので、位置情報としての地図には×マークは表示されない。
GPS4 表示された場所に行って見た。
歩いて5分、本来の場所との位置関係は二番目の写真の青い点の表示を見れば分かるだろう。
全く見当違いの所が表示されていた訳だ。
大須編  (写真をクリックすると拡大写真が見れます)
 場所と表示 説明
GPS5 実験場所は名古屋市大須新天地通りの入り口から。
アーケード街とビルの中での表示の違いを検証する。
最初の測定地は、写真の「氷」の旗の横。
GPS6 最初の計測ポイントでは正確に表示されている。
次は、ここから50メートル入ったパチンコ屋「メガロの前」
GPS7 大須新天地通りから50メートルほど入ったパチンコ屋{メガロ」の前で計測してみた。
GPS8 表示は大須新天地通りの入り口と変ってはいない。
軌跡も表示されていない。
大須新天地通りの入り口から100メートル程度にある十一面観音まで来た。
ここは天井が抜けている。一応ピンポイントで示しているが、軌跡は歪んでいる。
GPS9 万松寺ビルの中に入ってみた。
とりあえず、電波を受信しやすい出入り口の近くで計測してみた。
GPS10 この表示だと、私は道路の反対側にいる事になっている。
もし、位置情報を使って私を探すとすれば、見当違いの場所を探す事になる。
GPS11 万松寺ビルの中央のゲーマーズで計測してみた。
表示されている場所は変らない。
GPS12 隣の第一アメ横ビルの2階の階段付近で計測してみた。
GPSは大通り二つ先を示している。

 

携帯GPSで何故こんな現象が起きるのか?

何故、携帯GPSではこんな事が起きるのでしょうか?

答えは簡単、GPSは屋根が一つ有ればGPS信号を受信出来ません。

上から三つ目の写真で店舗内で表示されていた場所に行くと、マンションの屋上に携帯電話の中継アンテナが設置されているのが分かります。

つまり、携帯GPSはGPS信号が受信できない時、近くの中継アンテナの位置が表示されるようになっているのです。

大須編ではは、アーケードとビルの表示の違いが分かります。

アーケードでは精度は悪いですが、軌跡も表示されていますが、ビルの中では全く役に立っていません。

答えは、アーケードの素材にあります。

アーケードは採光の為、光を通す屋根が使われているのです。

電波は光と同じで、光を通す物は電波も通します。

アーケードでは周りの建物の多さ等で、受信出来るGPS衛星の電波が少ないので精度が悪くなるのですが位置は表示されます。

しかしビルのコンクリートは光を通しませんので、GPSの電波も受信出来ないのです。

その為、携帯の中継アンテナの位置が表示されるのです。

一言でGPSと言っても、携帯電話の様にGPS信号が受信出来ない時には別のシステムが動いているのです。

カーナビの場合はジャイロマッピング機能やマップマッチングと言った機能で、トンネルやビル街などでGPS信号が受信出来なくても計算して表示されるようになっているのです。

しかもカーナビには通信機能は無く、位置情報は使えません。

つまり、携帯GPSやカーナビは純粋なGPSではないのです。

では純粋なGPSはどれほどの物なのか? パソコン用のGPSレシーバーを使って試してみましょう。

純粋なGPSを使えば、どれだけGPS衛星の電波を受信し、屋根一つで受信出来なくなるかが分かります。

パソコン表示 説明
GPS13 使用するGPSレシーバー
CFスロットをPCカードスロットに変換して使用
GPS14 ビルの屋上で計測。
この時点で8つの衛星の電波を受信している事が分かる
GPSで得た位置情報を地図上に表示させるとピンポイント表示する。
左下のGPS衛星捕捉状況も、10個のGPS衛星を捕捉している。
GPS15 屋上に出るドアの内側で計測。
屋根があると、GPS衛星を全く捕捉出来ない。
この北26の表示はエラー表示である。
GPS16 GPS衛星を捕捉出来ない状況で地図表示させても、初期表示のままで現在位置が表示されない。

 

GPSの実力はこの程度

GPSは、屋外ではかなりの精度で現在位置を表示出来るのですが、屋根のある所では現在位置を表示させることは出来ないのです。

位置情報システムとは、通信した時点の緯度と経度を地図上に表示する物で、その通信は瞬間でしか行なわれません。

その理由は、刻一刻と移動する位置情報を送信し続ければ、携帯の電池が切れてしまうのです。

つまり、軌跡を表示させるような位置情報は「連続通話」と同じ状況になってしまい、そんな事をしたらすぐに電池が切れてしまうのです。

その為、通信を行なった時点の緯度と経度を地図上に点として表示しているだけなのです。

移動の方向を知るには最低2回表示させないと、動いているのか止まっているのかも分かりません。

しかも、GPS衛星の電波が受信出来なければ、全く別の所が表示されてしまう。

ちなみに、車は金属性で、基本的に電波は通しません。

運転席や助手席など窓の側で表示させればGPS信号を受信出来ますが、ダッシュボードの裏やトランクの中などに隠すとGPSの信号が受信出来なくなります。

車の底に取り付ける場合、奥まった所につければ受信出来なくなりますので、車の底の周辺部に付けないと機能しないのです。

盗撮について

盗撮の総論

まず、ワイヤレス式の盗撮全体に言える事は受信範囲が短く、近くまで来なければクリアーな画像を得ることが出来ません。

さらに壁の材質によっても受信画像が乱れたりします。

その事を踏まえて防衛策を取ればかなりの効果が得られるでしょう。

ワイヤレス(無線式)盗撮カメラは1.2Ghz及び2.4Ghz使用の物が大半ですが、その他にUHF帯などの物もあります。

UHF盗撮の主なチャンネルはテレビの13・15・17CHが良く使われます。
ワイヤレスカメラは電波が非常に弱く、スクランブル機能のある物もある為、市販の発見器で見つけられるのは稀ですが、実際にはこれが自宅に仕掛けてあっても、ほとんど無視できる程度の物です。

ワイヤレス盗撮カメラの特徴は、電波到達距離30M程度で障害物に非常に弱い、つまり室内で仕掛けても殆ど屋外まで電波が届かないのです。

もう少し専門的に説明すれば、映像電波は盗聴と違い情報量が多くなります。

音声だけの情報と、画像の情報では情報量が全く違う事は当然の事なのですが、電波の場合それが周波数と密接に関係してきます。

情報量は1周期に対して何ビットと言う形で乗せますので、情報量の多い映像電波は高周波を使う事になります。
その為、盗聴器が399Mhz帯を使うのに対して、盗撮カメラは1200Mhzや2400Mhzと言った高周波を使う訳です。

すると、別の電波の特性が関係してきます。

それが周波数による電波の性質の違いで、周波数が低いと「波」の性質に近くなり周波数が高くなると「光」の性質に近くなる訳です。

波の性質とは「回折」の性質で、障害物に当たっても回り込んで伝播して行きますが、光の性質は直進性が強くなり、回り込まずに障害物で遮断されてしまうのです。
それが、盗撮電波は障害物に弱いと言う特性になっているのです。

但し、個人住宅では難しい盗撮電波も、不特定多数の出入りできる場所(スーパー、フィットネスクラブ等)では、仕掛けた人が近くにいる事が出来る為、無視できない物です。

盗撮は、自室に仕掛けられる事は非常に考え難く、外出先のトイレや更衣室などでゲリラ的に行われるケースが殆どなのです。

盗撮カメラを壁や天井に仕掛けられるのか?

個人住宅では難しい盗撮、それはワイヤレスの盗撮だけの問題ではありません。

ビデオ式の盗撮でも困難なのです。

盗撮に関して、よくある質問なのですが、壁の中や天上に仕込まれている・・・
果たしてそんな事が可能なのでしょうか?
答えはNOです。

ではなぜNOなのか?
分かり易く説明して行きます。

まず、そのイメージは「1ミリの穴が有れば写す事が出来る」と言うマスコミの報道などが元になっていると思われますが、現実には1ミリの穴で写す事が出来るのは、コピー紙程度の厚みのものでしかありません。

人間の目には「視野」と言う物があるのと同じで、カメラにも「写角」と言う物があります。

例えば、左右70°と言った表記がなされています。

壁には厚みがあります。

一般的なベニヤ系の化粧板は4ミリ前後、プラスター系の天井材で9ミリ前後の厚みがあります。

つまり、壁や天井には厚みがあり、その中から見ると言う事は、トンネルの中から見ているのと同じ状況なのです。

人間の視野が180°と言ってもトンネルの中からは出口の所しか見えません。

そして出口に近付いて行くと徐々に視野が広くなっていきます。

カメラもこれと同じなのです。

例えば、レンズ口径が0.8ミリのカメラの場合、壁の穴を4ミリとすると厚みとの関係は概ね4:1の比率になります。

それをトンネルに置き換えると、トンネルの口径を4メートルとすれば16メートル奥から出口を見ているのと同じ見え方になります。

天井などは9:1の比率になりますので、36メートル奥から出口を見ているのと同じです。

ほとんど「点」にしか見えません。

そんな見え方では意味がありませんよね。

見えるようにする為には、穴を大きくしなければなりませんが、まともに写る為には壁や天井の厚みと同じ程度の穴が必要になります。

そんな大きな穴が開いていれば、一目で分かりますよね。

盗撮カメラの写角

その他にも電源供給と言う問題も有りますし、設置工事と言う課題も有ります。

「壁の中に仕込む」と簡単に言いますが、それがどれだけ大変な工事が必要になるか?

特に壁に使用している釘は、プリントネイル系の頭の出ない釘か、スティープルと言うホッチキスの様な釘が使われています。

壁を剥がすにはこの釘を抜かなければなりません。

この釘を抜く時、釘抜きで板をえぐるように抜かなければなりませんので、壁板を新品に交換する必要が出てきます。

また、壁紙などが張ってあれば、壁紙も新品に交換しなければなりません。

つまり、元通りに復旧する事は出来ないのです。

天井にしても、素人さんは天井に上って工事をすると思いがちですが、天井裏の配線工事などは「天井材を外して下から工事」をしなければなりません。

天井裏に上って工事をすると、天井が抜けます。

天井材も壁と同じく、天井材を新しい物に交換しなくてはならず、一目瞭然で分かってしまいます。

電気配線も、壁や天井のコードから電源を取ろうとした場合、一旦ブレーカーを落として電源を止めてコードを切断して配線しなくてはならず、全ての工事を終えるには2日はかかります。

それだけの工事をしても写るのは「点」だけ。

しかも、何かに仕込むには素材に開けた穴に密着させなければなりません。

盗撮は盗聴と違い、アングルを定めなければ被写体を写せません。

被写体にアングルを定めず設置しても被写体は写りませんし、被写体を写せる場所は限定されてしまうのです。

これがどれほど無駄な事かお分かりいただけたでしょうか?

また「新築工事の時に」と言われる人もいるのですが、受け渡しの時に壁や天井に穴が開いていれば、即クレームで補修工事になりますし、工事が終わって何も無い綺麗な状態の時に穴があれば目立ちます。

理屈では理解出来ない人の為に、実際の映像を掲載しておきます。

実験素材 4㎜コルク材

盗撮実験1

実験穴2㎜の4㎜厚コルク材

盗撮実験2

撮影方法(穴に密着)

盗撮実験3

実験穴2㎜、4㎜厚コルク材の映像

盗撮実験5

実験穴1㎜、4㎜厚コルク材での映像

盗撮実験6

実験穴1㎜、0.5㎜厚の厚紙での映像

盗撮実験7

これらの実験で分かるように、素材の厚みと穴の大きさの比率によって、写角が遮られて映し出される映像範囲が変わるのです。

また、盗撮用のワイヤレスカメラを何かの中に入れれば、その躯体によって電波は遮断されてしまう為、個人宅の部屋に仕掛けて盗撮すると言う事は殆ど不可能なのです。

盗撮でPC画面の文字が読めるのか?

PCの画面や携帯メールを盗撮カメラで写されていると思っている方が多くいらっしゃいますが、実際にはそんな事は出来ません。

なぜなら、盗撮カメラにそんな解像度は無いからです。

と言っても、そうした不安を抱えておられる人には信じられないと思いますので、実際の映像を御用意いたしました。

この画像の最初の位置は「目線の位置」で、PCより50センチの所から徐々に遠ざかって写しております。
PCから1メートル程度離れて写した15インチディスプレイの映像です、どんな画像になるか自分の目で確認して下さい。
また、使用したカメラの性能は40万画素の高解像度ビデオカメラの物です。
電波式盗撮カメラの画質はもっと悪くなります。

どうです?タイトル以外の文字が読めましたか?
更に、ディスプレイの前には貴方の頭があります、と言うことは全く見る事は出来ない訳です。(画面に黒い帯が走るのはリフレッシュレートによるフリッカー)

試しに、270万画素のデジカメで1メートル離れた所から、この文章をデジカメで写してみました。
今度は17インチディスプレイの画像です

1. 三脚セットで70センチ離れたところからの画像

盗撮実験8
2. 実際にPCを実際に見ているところの想定(頭の位置にペットボトル設置)

盗撮実験9
3. 頭をかわして斜めから1.5メートル離れての映像

盗撮実験10
実際に撮影しようと思うと2のペットボトルのような画像になり、実際には頭以外にも体、特に肩等があるので、もっと遮蔽されますね。
斜めから見ても2メートルも離れると270万画素でも文字を読むのにはつらい物があります。
こうした実験の結果、盗撮でPCの文字を読む事は不可能である事が実証できるのです。

とは言っても心配の種は尽きないと思います、どうしても心配の種が尽きない方は調査してその心配の元を解消する事が大切なのかもしれませんね。

電波式盗撮カメラの実験

電波式盗撮カメラの性質を知る前に、電波と言う物を理解する必要があります。

電波と一言で言っても用途によって周波数や変調が異なります。

周波数の低い電波と周波数の高い電波の違いから理解する必要があります。

周波数の低い電波は波の性質に近くなり周波数が高くなると光の性質に近くなります。

また電波に乗せられる情報量は周波数によって変り、周波数が低いと情報量は少なく、周波数が高くなると情報量は多くなります。

盗聴器は音だけなので周波数は比較的低い為、波の性質が強くなり、波の性質とは回り込みで、障害物に当たっても電波は回り込みながら進んで行きます。

盗撮カメラは映像情報で情報量が多く、高周波が必要になる為光の性質に近くなり、光の性質は直進性で障害物に当たっても回り込まずに止まってしまいます。

わずか1mの所に置いた電波式カメラの電波もドア1枚で受信出来ません。

映像電波は金属製のドアを通過できない為、砂の嵐になっています。

同じ室内で2m程度の所でも柱の影に隠れると映らなくなります。

つまり、何かの中に電波式カメラを仕込んでも、家の外でその映像を見る事が出来ないと言う事なのです。

良くある相談に、上下の階の人が盗撮カメラで自分の居場所を知り、移動先で音を出して来ると言う物がありますが、この実験からも分かる様に盗撮カメラの電波は床や天井や壁で遮られてしまいますので、例え電波の意距離が30M有ったとしても、電波は隣室へは届かないのです。

ましてや、壁や天井、電化製品の中に仕込んだとしたら、壁や電化製品のケースでも遮断されてしまうので、全く使い物にならないのです。

赤外線撮影の誤解

水着などを透けて写す赤外線撮影。

そんな赤外線撮影で、家の中まで見られると誤解している人が結構多くいます。

ハッキリ言って出来ません。

どんなに改造しても出来ません。

それは主観的な発想であって、原理を無視しているのです。

色と言う物は、反射する物体で特定の光の色が吸収され、吸収されなかった光の成分反射されて、色と言う形で見えています。

太陽光の下で見る色と、蛍光灯の下で見るのでは、若干色が違って見えます。

それは、光のスペクトルが違うからです。

光が物体に当たり、そこで一定の光の色の成分が吸収、乱反射などした光を見ているのが目で、それを写しているのが写真です。

青く見えるのは、赤い光が吸収されて青い光を反射しているから青く見えます。

蝶の羽の色は、反射面の形状により乱反射する事で発色しています。

この蝶の羽の原理で、表面を加工して乱反射で発色させる技術が、将来の塗装とも言われています。

衣服などは光を通すから、赤外線で写せば衣服の下の体のラインや色の強弱がモノトーン系の色合いで写るだけです。

しかも、体と衣服が密接していなければ写りません。

衣服は、光を通すと言う事さえ理解できない人もいるので、簡単に説明しておきます。

黒い冬服などを顔にかぶって、蛍光灯を見れば蛍光灯の光がうっすらと見えます。

つまり、光を通しているという事です

赤外線撮影も原理は同じで、可視光線を遮断する事で反射した赤外線だけを捉えているだけの話です。

ただし、赤外線は反射だけではなく熱源からも出ています。

家の壁などは光を通さないから、壁を赤外線撮影しても、赤外線は壁を通過出来ませんし、発熱していないから壁が反射した壁の映像しか写りません。

それは赤外線の量や強さを上げても変わらないのです。

そんな物を、どんなに改造したって原理的に写る事は無いと言う事です。

サーモグラフィーで透視撮影は可能か?

サーモグラフィーを使って、透視撮影されると言う記事がネット上でまことしやかにささやかれていますが、はっきり言って無理です。
恐らく「映画」等でそんなシーンを見た事が有りますから、それを真に受けているだけだと思います。
これが「虚実混同」で、映画はあくまでも作り物、現実の物ではありません。

サーモグラフィーは、表面温度が表示されるため、部屋の中の物体の形を映し出す事は出来ないのです。
理屈で説明しても、理解出来ない人が多いので写真でお見せします。

熱した石を水の中に入れる時の通常写真

サーモグラフィーの映像1

そのサーモグラフィーの映像

熱した石は赤く映りますが水の中に入っている部分は映りません。

サーモグラフィーの実験2

完全に水没させると全く映りません。

赤外線で、家の中が透視出来るのであれば、熱した石を水の中に入れれば水の中でも石は映るはずです。

サーモグラフィーの実験3

石を入れて5分後

サーモグラフィーの実験5

水がお湯になって水全体が緑色に映っています。

これがサーモグラフィーの実際の映像です。

この実験で赤外線撮影やサーモグラフィーで室内を透視撮影など出来ない事が分かります。